司法書士の高橋です。今回のテーマは「遺言書」についてです。
私が実務をやっていてよく思うのが、高齢者の方は、いくら遺言書の必要性を説明しても、遺言書を書くことにかなりの抵抗があるということです。その理由は、日本人が死を忌み嫌い、「遺言書=遺書」と考えている方が数多くいらっしゃるからではないでしょうか。一般的に、「遺書」は、亡くなる間際に自分の思いを記す書き置きであり、一方、「遺言書」は、法的な効力をもって財産の配分を指定する積極的な文書であり、遺言書と遺書は違います。
最近、遺言書を書かないために、家庭裁判所の手続で無駄なお金と時間をかけて、相続人間で骨肉の争いをしているケースが非常に多く見受けられます。それは、財産が多いから揉めるわけではなく、昨今の不況や核家族化の理由で、財産が少なくても家庭裁判所での手続になっているのが現状です。よく、「うちは財産がないから大丈夫。」と言っている家族ほど、深刻な「争続」問題になっています。家族間の仲が悪かったり、自分に子どもがいなかったりする場合は、遺言書を書いた方が良いでしょう。
また、あまり知られていない遺言書のメリットが、遺言執行者(遺言の記載井通りに手続を行う人)を遺言書で決めておけば、相続人全員が関与しなくても遺言執行者一人で相続手続ができるので、手続が非常に楽になります。これから高齢者がますます増加する日本において、遺言書を書くのが当たり前の世の中になれば良いと思います。
遺言書についてもっと詳しく知りたい方は、事務所までご連絡ください。