おひとり様が認知症になったら?

司法書士の高橋です。

私は、これまで認知症高齢者や知的障がい者、精神障がい者のサポートを行う「成年後見業務」を70件近く携わってきました。私が受ける案件は、さらにご家族がいなくて身寄りの無い方、いわゆる「おひとり様」の成年後見業務を行うケースがほとんどです。おひとり様が認知症になった場合どうなると思いますか?今回は、私が実際に携わったおひとり様の成年後見業務の内容をご紹介いたします。

統合失調症と認知症の両方を発症している、現在77歳女性Aさんの場合です。この方は、20歳頃から統合失調症と診断されていたのですが、統合失調症は、幻覚や妄想の症状が特徴的な精神疾患です。Aさんの場合、少し離れたところで何人か話していると、自分の悪口を言われていると思い込み、杖で殴りかかり怪我をさせたことがあったようです。ただ、服薬管理がしっかりできていれば治療できる病気です。Aさんは20代の頃結婚されていて、その服薬管理をご主人が献身的に行っていました。しかし、Aさんが70歳の頃、ご主人が心臓の病気で急にお亡くなりになり、服薬管理できる方がそばにいなくなってしまいました。Aさんにはご兄弟がいたのですが、高齢で近くにお住まいではなく、認知症の症状も出てきて一人で暮らせる状態ではなかったので、役所の措置として精神病院に入院することになりました。Aさんは一人で財産管理やご主人の相続手続をすることはできないし、実際に手続ができる身寄りのある方がいないということで、役所から私に成年後見人(成年後見業務を行う人)の依頼があり、成年後見人に就任することになりました。

成年後見業務の仕事内容として、主に①財産管理と②身上監護があります。Aさんの場合、①の仕事として、入院費の支払い、税金の納付、空き家になった自宅の管理として、定期的な見回りや庭木の剪定を業者に依頼することなどを行い、②の仕事として、役所に書類を提出するなど、介護保険に関する手続を行いました。ちなみに、Aさんの場合は無かったですが、老人ホームに入所する契約を行うことは②の身上監護業務の一つです。また、Aさんの場合、亡くなったご主人の相続手続がありましたので、預貯金や不動産の名義をAさん名義に変更することも行いました。私の場合、Aさんの様子を見に行くため、1~2ヶ月に1回、定期的に精神病院へ面会に行きます。その際、病院の看護師から頼まれれば、衣料品を購入することもあります。最初、Aさんと面会するときは心を開いてくれず、コミュニケーションをとることが難しかったのですが、最近では、私と会うことを楽しみにしてくれており、涙を流して喜んでくれた時もありました。

現在もAさんの成年後見業務を行っていますが、成年後見人との相性は非常に重要です。Aさんの場合は、たまたま私との相性が良かったですが、自分の信頼がおける人に成年後見人を依頼したいのであれば、認知症になる前の元気なうちに、「任意後見契約」を締結することをオススメします。詳しいことを知りたい方は、お気軽に事務所までご連絡ください。