文京区の認知症対策専門司法書士の高橋です。
家族の誰かが認知症になった場合、一番困るのは、資産が凍結してしまうことです。つまり、病院の入院費や老人ホームの施設費などを支払うために、家族が親名義の銀行の定期預金口座を解約するにも、親名義の自宅を売却するにも、役所や銀行からは、成年後見制度を利用を勧められるからです。
ただ、ちょっと待ってください。成年後見制度のデメリットを知らないで、制度を利用してしまうと、取り返しがつかないことになります。デメリットとしましては、次のようなことが挙げられます。
①例えば、定期預金を解約する目的で成年後見制度を利用したとしても、通常、本人が亡くなるまで制度を利用しなければならず、毎年家庭裁判所に報告をしなければならない。
②家族を候補者として成年後見開始の申立てをしたとしても、必ずしも家族が成年後見人に選任されるとは限らず、司法書士や弁護士などの専門職が成年後見人がなることが約70%もあり、専門職が選任された場合は、最低でも月2万円の報酬が発生する。
③成年後見制度は、本人の利益保護を重視しすぎるため、本人の財産を無駄遣いすることが許されず、家族が望む相続税対策や資産形成をすることができない。
これまで私は90件以上成年後見案件に携わっていますが、以上のようなデメリットもありますし、また、一般の方の考え方と家庭裁判所の考え方にギャップがあるため、トラブルが生じることが少なくありません。成年後見制度を利用する場合は、制度に精通している専門家に相談することをオススメいたします。