皆さん、こんにちは。司法書士の髙橋です。
成年後見人に初めて選任されてから6年、私は、主に身寄りのない方の成年後見案件を80件近く携わってきました。様々な境遇の高齢者と接してきて私が思うのは、これから超高齢化が進む日本において、高齢者が自分らしく生きていくために大事なのは、「正しい情報を得て、各自が老後の準備を早めにしておくこと」です。現在、「終活」ブームが到来していますが、全ての高齢者に正しい情報が行き渡っているとは思えませんし、年老いて身体が思うように動かなくなることもあり、実際に終活で得た知識を使って行動に移している高齢者はまだ多くないのが現状です。また、私は仕事柄、「うちには財産がないから大丈夫」とか、「子供たちが何とかしてくれる」と思いこんで何も準備をしていなかったために、家族間でトラブルになるケースを数多く見てきました。もし残された家族に迷惑を掛けたくないのであれば、元気なうちにしっかり準備をしておくべきです。
そこで、私から高齢者の相談者に出している「宿題」が2つあります。一つは、「漠然とした老後の不安を明確化すること」です。老後のリスクに気づき、将来が見えれば、備えることが可能となります。緊急連絡先や延命治療の意思表示、遺影の準備など、市販されているエンディングノートを利用して書き出すのも良いですし、楽しくカードゲームをやりながら老後のリスクが分かる、日本HappyEnding協会の「ハッピーエンディングカード」をお勧めしています。
もう一つは、「家族間で話し合いの場を設けて、財産状況や介護・葬儀などのご自身の希望を子供たちに話しておくこと」です。年末年始やお盆の帰省の際に、お酒を飲みながらでも良いので家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。家族間での話し合いを設けることで、後々の「争族」を避けることができます。家族間での争いほど醜いものはないので、元気なうちに、勇気を出して家族に話すことをお勧めしています。