超認知症時代がやってくる!

司法書士の髙橋です。

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

さて、明日7日にも、政府から緊急事態宣言が発表される予定ですが、コロナウイルスの猛威は一向に収束しない様相を呈してきました。コロナウイルスの感染も怖いですが、高齢者がコロナウイルスを恐れるあまり、周囲の人と話さなかったり外出しなかったりすることで、認知機能が低下し、認知症が発症する高齢者が増加するのを私は大変心配しております。ある週刊誌の老人ホームに勤務する介護職員へのアンケート結果によると、介護職員の約85%が、「入所している高齢者の認知症が進行している」と回答しております。

認知症になって問題となるのは、高齢者本人が有する「資産の凍結」、つまり、家族であっても、高齢者本人名義の預貯金を引き出せなくなる、本人名義の不動産を簡単に売却できなくなる、ということです。認知症のご両親を老人ホームなどの施設に入れる際、そのお子さんが施設に入所する一切の費用を立て替えられるのであれば良いのですが、立て替えられないのであれば、現在では「成年後見制度」を利用するしかなくなります。

成年後見制度とは、認知症高齢者などの財産を「成年後見人」という代理人が管理する制度です。私は、認知症高齢者が生活する上で不利益を受けないようにする非常に良い制度だと思います。ただ、例えば両親が認知症になり、そのお子さんが成年後見人として財産の管理をしたいと家庭裁判所に申立てをしても、所有する財産にもよりますが、家庭裁判所がお子さんが成年後見人になることを認めず、司法書士や弁護士などの専門職を成年後見人として選任されるケースが多くなっています。最高裁判所の統計によると、約70%の成年後見人が専門職後見人が選任されています。そうなると、専門職は仕事として成年後見人を行いますので、どうしても報酬が発生し、最低でも毎月2万円、毎年24万円もの高額の報酬を専門職である成年後見人に支払わなければなりません。つまり、家族ではない第三者の専門家が、認知症高齢者本人の財布を握り、さらに、その専門家が真面目に成年後見人をやってもやらなくても、専門家へ報酬を支払わなくてはならないことになります。その点が成年後見制度の最大のデメリットであり、超高齢化時代になった今でも、この制度があまり普及しない要因になっていると思います。

大事なのは、「両親が認知症になる前」に対策を打つということです。つまり、今は元気に自宅で生活している高齢のご両親、又は自宅での生活がギリギリでそろそろ老人ホームの入所を検討している段階のご両親であれば、認知症対策として有効な「家族信託」「任意後見」「遺言」などを検討することが最善の策となります。少しでも気になるのであれば、早め早めの対策をおススメいたします。

当事務所では、緊急事態宣言下でも、コロナウイルス対策を万全と行ったうえでの事務所でのご相談は勿論、電話やZOOMなどのオンラインでのご相談にも対応可能でございますので、お気軽にご相談ください。