司法書士の髙橋です。
2025年には、75歳以上の高齢者の5分の1が認知症になると言われています。
そんな時代が到来する前に知って頂きたいのは、認知症の方が所有する実家などの不動産は
売ることが難しくなるということです。
それはなぜでしょうか?認知症になると、法律的には意思能力がない、つまり判断力がないこと
になり、認知症の方が売買契約書にハンコを押しても無効になってしまいます。認知症の代わりに
家族が代筆すれば不動産が売却できそうですが、所有者の認知症の方が売却しても良いと一言も
言ってない以上、認知症の方の実家を売りたい、という意思を確認することができず、そのような
場合は、不動産の名義を移す登記をする際に、司法書士は手続きを進めることができなくなります。
認知症になった場合、家庭裁判所に申立てをすることによって、成年後見人を選任してもらうことに
なります。その成年後見人が実家を売却すれば問題なさそうですが、実は、成年後見人でも実家を
売る手続きは難しいのです。それは、成年後見人が認知症の方の実家(自宅)を売る場合、家庭裁判所
の許可が必要となり、「自宅を売らなければいけない理由」が必要になってくるからです。なので、
空家の実家の草取りが大変とか、固定資産税を支払いたくない、という理由ではなかなか許可が下りなく
なってしまいます。
実家を所有している方が元気で、実家が不要なら、自分の判断で売ることができるのに、認知症になった
途端、実家を売ることが難しくなってしまうのです。
これまでは、認知症などで判断力がなくってしまうと、自分の意思を実現する方法はありませんでしたが、
2007年に「民事(家族)信託」に関する法律ができたことによって、認知症になる前に、実家の所有者が
民事信託契約を締結しておけば、実家を売ることが可能となりました。
当事務所は、民事信託にも対応できる事務所ですので、お気軽にご相談ください。