任意後見制度のススメ

こんにちは。司法書士の髙橋です。

認知症対策として、判断能力が低下した人を法的に保護する「法定後見制度」がありますが、現在の家庭裁判所の運用では、たとえ家族を成年後見人候補者として申立てをしても、成年後見人として家族が選任される確率は約28%にとどまり、司法書士や弁護士などの専門職が成年後見人に選任されるケースが増えています。選任された専門職は赤の他人なわけですから、本人や家族の意思が無視される可能性があり、専門職とのトラブルが続発しているのが現状です。
そこで、私は、「任意後見制度」をお勧めしております。任意後見制度とは、判断能力があるうちに、つまり、認知症になる前に、信頼がおける家族や専門職に、自分が認知症になったとき、やってもらいたいこと、例えば海の見える施設に入所したいなどの
希望を伝え、相手が希望の実行を約束してくれたら、公証役場にて任意後見契約を交わして、それを公正証書にしておくものです。そして、認知症になったと判断した時に家庭裁判所に任意後見を開始したいと申し立てると、任意後見人の活動を監督するための任意後見監督人(通常は弁護士)が選任されます。この選任が終わると、任意後見人は、約束したことを代理できるようになります。
認知症になるかどうかは分からないですが、「老後の保険」としてこの任意後見制度を利用しておけば、たとえ認知症になったとしても本人の希望通りの老後を送ることが可能となります。また、前述した法定後見制度において専門職が成年後見人に選任されると、毎月最低2万円の報酬が発生しますが、任意後見制度において家族を任意後見人としておけば、任意後見人の報酬は無報酬に設定できます。
任意後見制度について詳しく知りたかったり、実際に利用したい場合は、事務所までお気軽にご連絡ください。